空挺ドラゴンズに登場する「龍のカツレツ」
この料理に合うワインをソムリエ視点でご紹介します
今回セレクトしたのは、オーストリアの白ワイン「グリューナー・ヴェルトリーナー 」です
その理由を料理のルーツをたどりながら考えいきます
空挺ドラゴンズとは 舞台背景
空挺ドラゴンズとは龍と呼ばれる生物が棲息する世界で、龍を狩って生計を立てる「龍捕り」たちを描いたファンタジーです
物語の主人公たちは、飛行船に乗って捕獲した龍を加工して売りさばくことを生業としています
龍は「宝の山」と呼ばれ、一頭捕獲するだけでかなりのお金になるようです
捕獲した龍は食肉や油はもちろん、内臓を薬の原料にしたり骨や筋を工芸品にしたりと余すことなく使うことができます
劇中では龍のお肉をつかった料理が印象的に描かています
龍のカツレツ 公式レシピ
単行本の挿絵、およびアフタヌーンサイトには公式のレシピが記載されています
一人分のレシピが載っていますが、作品では大きな龍肉を伸ばした「特大カツレツ」として描かれています
大鍋で作った特大カツレツはかなりのインパクトがありますね
味のほうは「絶対間違いないやつ」とのこと
材料(1個分)
牛の赤肉(「龍の赤肉」の代用):200g
塩:少々
胡椒:少々
パン粉:1カップ
粉チーズ:大さじ4
小麦粉:適量
卵:1つ
牛脂または食用油(「龍脂」や「食用龍油」の代用):適量
バター:15g
作品では龍の肉が使われていますが、牛肉を代わりに使ってますね
お好みで豚肉や生ハムを混ぜてオリジナル龍肉を作るのも楽しいでしょう
作り方
1
アフタヌーンサイト
牛の赤肉を肉叩き(なければワインなどの瓶)で、手前に引くように叩いて、全体を薄くのばす。
2
塩・胡椒を肉の両面に振る。
3
両手をこすり合わせるようにして細かくしたパン粉に、粉チーズを入れて混ぜる。
4
肉に小麦粉、溶き卵、チーズパン粉の順にころもをつけ、手で軽く押さえる。
5
フライパンに牛脂とバターを深さ5㎜ほど溶かして熱したら、肉を入れこんがりきつね色になるまで揚げ焼きにする。
6
片面が焼けたら、ひっくり返し、もう片面も焼き上がったらできあがり。
劇中ではワインのボトルを使って肉を叩いて伸ばす、という細やかな描写がされていますね
私も実際にワインボトルを使ったことがあります
ちなみにこの料理はまかないとして、グヤーシュというシチューと一緒に食べられています
この料理のルーツ ウィンナー・シュニッツェルとコトレッタ
作中に登場するこの料理には実はちゃんとしたモデルがあります
それがこちらの二つ
・オーストリアのウィンナー・シュニッツェル(ウイーン風カツレツ)
・イタリアのコトレッタ アッラ ミネラーゼ(ミラノ風カツレツ)
作り方はほとんど同じですが、ミラノ風カツレツの方は衣に削ったパルミジャーノレッジャーノを混ぜることもあります
お肉は仔牛肉が使われることが多いよ
肉をたたいて薄くのばすので安い肉でも柔らかく仕上がり、火もすぐに通るので、あっという間に完成します
腹を減らした龍捕りのまかない料理としても、ぴったりの料理といえますね
オーストリアとイタリアは国境を接しており、その起源は諸説ありますが、北イタリアからオーストリアに伝わったというのが有力なようです
どちらにせよ、ヨーロッパは地続きなので、互いに影響をうけているのでしょう
作家の村上春樹さんも好物の料理らしく、「村上朝日堂」でウィンナーシュニッツェルとコトレッタについて熱く語っています
私が初めてこの料理のことをきちんと知ったのも、彼の書物がきっかけだったと思います
おすすめワインはオーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー
オーストリアとイタリアの伝統料理に影響を受けたであろう「龍のカツレツ」
この料理にお勧めするのが、オーストリアの白ワイン グリューナー・ヴェルトリーナーです
グリューナー・ヴェルトリーナーはオーストリア原産の白ブドウ
水のようにぐいぐいと飲めると同時に凝縮感があるので、食事に合わせやすいワインとして人気があります
口に含んだ瞬間にカツレツのバターの風味を爽やかな洋ナシの香りが引き立てます
ワインの持つ白コショウやハーブのニュアンスがお肉と絡み合い、しっかりと味わいが立ち上がるでしょう
衣のサクサク感とみずみずしいワインの相性は抜群ですよ
付け合わせにジャガイモを添えたり、お好みでレモンを絞るのも良いですね
まとめ
空挺ドラゴンズに登場する「龍のカツレツ」に合うワインに、オーストリアの「グリューナー・ヴェルトリーナー」をセレクトしました
このマリアージュ、実は本場オーストリアでは鉄板の組み合わせとされているんです
地元の料理には地元のワインが良く合うんですね
劇中ではまかないとして龍のカツレツとグヤーシュという料理が一緒に食べられています
実はグヤーシュはオーストリアの隣の国、ハンガリーの郷土料理なんです
かつてオーストリア=ハンガリー帝国があったということを考えると
一見関係なさそうに見える料理の組み合わせにも、作者のこだわりが見えてきますね
龍捕りが協力して成し遂げた仕事の象徴だったのでしょうか?
考えてみると楽しくなってきます
追記 赤ワインが好きな人へのおススメ
白ではなく赤ワインがお好みの方は、オーストリアのブラウフレンキッシュ
イタリア好きの方はイタリアのテロルデゴ・ロタリアーノ(別名トレントの王子)
なんかも良いですね
ハーブやスパイスの感じがあって重すぎない赤ワインなのでカツレツにも合わせやすいですよ
カツレツは家でも作る事ができますので、是非龍捕りの気分になって味わってみてください
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