空挺ドラゴンズに登場する「クラーケンの触手のカルパッチョ」
この料理に合うワインをソムリエ視点でご紹介します
今回セレクトしたのは 、南イタリアのカンパーニャ州で作られる「フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ」
その理由を劇中の料理のルーツをたどりながら解説していきます
空挺ドラゴンズとは 舞台背景
空挺ドラゴンズとは龍と呼ばれる生物が棲息する世界で、龍を狩って生計を立てる「龍捕り」たちを描いたファンタジーです
物語の主人公たちは、飛行船に乗って捕獲した龍を加工して売りさばくことを生業としています
龍は「宝の山」と呼ばれ、一頭捕獲するだけでかなりのお金になるようです
捕獲した龍は食肉や油はもちろん、内臓を薬の原料にしたり骨や筋を工芸品にしたりと余すことなく使うことができます
劇中では龍のお肉をつかった料理が印象的に描かています
クラーケンの触手のカルパッチョ
クラーケンは北欧の伝説に伝わる海の巨大な怪物で、船を転覆させて海に引きずり込むと信じられていています
巨大なタコやイカ、はたまたシーサーペント(大海蛇)というドラゴンの一種としても描かれることが多いですね
劇中では洋上で超局地的に発生する低気圧の渦やその中に潜む龍のことをそう呼んでいます
ミカとクジョーはこの伝説級の超大型龍クラーケンの触手をカルパッチョに仕立てて食べています
その味わいは ミカ「んま」「案外いける」クジョー「ワインが飲みたくなる」とのこと
作り方
今回の龍肉はイカやタコの海産物の味わいに近いようです
アフタヌーン公式のレシピでもタコが代用として使われていますね
材料(1人分)
クラーケンの触手:150g~200g
ケッパー:大さじ1
ルッコラ:60g
ニンニク(お好みで):1片
パルメザンチーズ:適量
レモン果汁:1/2個
オリーブオイル:大さじ2~3
塩:適量
挽きたて胡椒:適量
1
アフタヌーンサイトより
タコに縦に切れ込みをいれ、皮を滑らないように布巾などでつかみながら引きはがす。
2
皮をむいたタコを串に刺しさっと火であぶって、薄くスライスする。
3
ケッパーが大きい場合は、粗く刻んでおく。ルッコラは水洗いして水気を切っておく。
4
スライスしたタコを皿に盛り付け、ケッパーを散らす。好みですり下ろしたニンニク、パルメザンチーズも散らす。
5
レモン果汁とオリーブオイルを回しかけ、ルッコラをのせ、塩・胡椒をふったらできあがり。
材料にタコが代用されていますが個人的にはタコやイカをごちゃ混ぜにミックスした物も得体のしれないクラーケン感が出て良いのではないかとおもいます
調味料も全部揃わなくても塩コショウとオイルがあれば美味しく食べる事ができます
レモン汁の代わりにワインビネガーを使うのも良いですね
カルパッチョ
カルパッチョ(Carpaccio)は、魚介や牛肉を薄切りにしたものにオリーブオイルやソースをかけたイタリア料理のメニューのひとつです
本来は生の牛ヒレ肉の薄切りに、チーズやマヨネーズソースなどの調味料をかけた料理で、赤い生肉にチーズをトッピングした見た目が印象的です
イタリアの画家であるヴィットーレ・カルパッチョが好んで食べていたようで、彼の名前を取ってカルパッチョという名前になったという説があります
彼の作品は赤と白の対比を表現した作風が特徴的で、その画風のイメージからつけられたといわれています
今では肉だけではなく魚介類を薄切りにしたものもカルパッチョと呼ばれていますね
ヨーロッパではタコは「悪魔の食べ物」と言われ余り食べないといわれていますが、ギリシャやイタリア、スペインの海辺の町ではタコをよく食べます
特に南イタリアのカンパーニャ州では海に面していることから、タコを使ったレシピがたくさんあり、タコのカルパッチョに似た料理も伝統的に食べられています
基本的には生食ではなく、くたくたに軟らかくなるまでよく煮てから薄切りにして調味されます
タコを柔らかくする方法もユニークで、生のタコを壁に叩きつけたり、ワインの空瓶で叩いたり、はたまたワインのコルクと一緒に煮るという迷信めいた方法もあるようです
合わせるワインはカンパーニャ州のフィアーノ・ディ・アヴェッリーノ
南イタリアのタコのカルパッチョに影響を受けているこの料理
「クラーケンの触手のカルパッチョ」にお勧めするのが、南イタリアのカンパーニャ州で作られる「フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ」
フィアーノは、南イタリアでもっとも古くから栽培されるブドウ品種で、古代ローマ時代には既に存在していました。
アヴェッリーノはカンパーニャ州の土地の名前ですね。
フィアーノの畑にはブドウの花から出てくる甘い香りに誘われてミツバチが集まって来ることから、ラテン語でアピアニス(ミツバチに愛された)と呼ばれていました
その名の通り、蜂蜜のようなふんわりとした花の香りを感じることができます
蜂蜜のような黄金色をしており、適度にコクのある味わいなので、タコやイカに似たクラーケンの触手の味わいもしっかりと受け止めてくれるでしょう
レモン汁のさわやかな香りとワインのもつ柑橘類の香りが補完しあい、ほのかに香るアーモンドのアロマが嚙むごとに旨味と絡み合いお互いをグッと引き立てます
時おり感じるニンニクやケッパーの刺激的な味わいも綺麗な酸味が洗い流してくれるので、さっぱりとした口にめがけて次々とカルパッチョを放り込むことは間違いないかと思います
まとめ
空挺ドラゴンズに登場する「クラーケンの触手のカルパッチョ」に合わせるワインとして南イタリアのカンパーニャ州で作られる白ワインフィアーノ・ディ・アヴェッリーノをセレクトしてみました
フィアーノ・ディ・アヴェッリーノはDOCGというイタリアワインの格付けの最上位にランク付されるワインで品質も折り紙付きです
またフィアーノはカンパーニャ以外にシチリアやプーリアといった南イタリアでよく作られるぶどう品種で全般的に魚介類との相性が良いです
中にはバフンウニなど海の幸がラベルに描かれたワインもあるくらいです、リーズナブルな物でも美味しい物がありますので是非試してみてください
カルパッチョは塩コショウとオイルやビネガーがあれば簡単に作れます
適当に調味料を混ぜて食材と合わせても案外美味しいですよ
現実には龍肉は手に入りませんが、きっとタコやイカを上回るうま味や食感があるのでしょうね
ましてや伝説級の龍であるクラーケンです、その想像をはるかに超えるに違いありません
劇中のミカも触手を柔らかくするために壁に叩きつけたかもしれないなんてことを想像すると楽しくなってきます
まさに船乗りの作る男の料理という感じがしますね
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