空挺ドラゴンズに登場する「龍の赤肉の海賊風パストラマ」
この料理に合うワインをソムリエ視点でご紹介します
今回セレクトしたのは 、「ジョージアのオレンジワイン」
その理由を劇中の料理のルーツをたどりながら解説していきます
空挺ドラゴンズとは 舞台背景
空挺ドラゴンズとは龍と呼ばれる生物が棲息する世界で、龍を狩って生計を立てる「龍捕り」たちを描いたファンタジーです
物語の主人公たちは、飛行船に乗って捕獲した龍を加工して売りさばくことを生業としています
龍は「宝の山」と呼ばれ、一頭捕獲するだけでかなりのお金になるようです
捕獲した龍は食肉や油はもちろん、内臓を薬の原料にしたり骨や筋を工芸品にしたりと余すことなく使うことができます
劇中では龍のお肉をつかった料理が印象的に描かています
パストラマ
パストラマとは元々ルーマニアの郷土料理で羊肉に塩や香辛料をすり込んで燻煙した保存食です
パストラマ(Pastramă)は、ルーマニア語で「維持する」「保存する」を意味するパストラ(păstra)が語源だよ
またはもっと古いラテン語の(pastor)「羊飼い」に由来してるといわれ、ルーマニアでは主に羊肉を使って作られていました
原始的な方法で作られた干し肉の一種で、トルコやギリシャの辺りでは「パストゥルマ」と呼ばれ、昔はラクダ肉や鹿の肉でも作られるものがあったようです
現在、アメリカなどでは一般的にパストラミとよばれて流通してます
アメリカに渡ったルーマニアのユダヤ人がパストラマのレシピを応用して、牛肉で代用して作ったものをそう呼ぶようになったようです
パストラミの材料も様々で鴨肉などでも作られます
お肉を薄く切ってサンドイッチにしたりする食べ方が人気ですね
劇中に登場したレシピはこちら
・龍の赤身肉:1kg
・黒コショウ:適量
・百味胡椒(オールスパイス):適量
◎ピックル液・・・水100cc・塩150g・砂糖70g・黒コショウ(少々)・セージ(少々)・タイム(少々)・ニンニク(少々)・その他好みのスパイス
ブランデー(おおさじ1)
劇中のものはもちろん龍肉を使っていますね、スパイスや細かい作り方はそれぞれのウチに伝わる秘伝のレシピがあるようです
合わせるワイン ジョージアのオレンジワイン
さて古より伝わるパストラマに合うワインとしておすすめしたいのがジョージアのオレンジワインです
ジョージアは世界最古のワイン発祥の地とも呼ばれておりこの地でワイン造りが始まったのは今から8000年前とされています
東ヨーロッパの南コーカサス地方に位置しておりロシアやトルコ、アルメニアに隣接し、黒海を挟んでちょうど反対側にはパストラマ発祥のルーマニアがあります
以前はグルジアと呼ばれていたね
日本では2015年にロシア語読みのグルジアから、英語読みのジョージアに変更になりましたね
クヴェヴリ
最大の特徴はクヴェヴリと呼ばれる壺でワイン醸造を行うことです
素焼きの大きな壺に収穫したブドウを入れ、地中に埋めることで発酵と熟成を行います
地中に埋められていることで安定した温度が保たれ、野生酵母のみで発酵が進むというわけなんです
白ブドウを赤ワインのように果皮や種と共に発酵するいわゆるので褐色がかったオレンジ色のワインなるんですね
オレンジワインは、ブドウの果皮や種から抽出される紅茶のようなタンニン(渋み)がありアプリコットやスパイスなどの独特の香りを感じます
そのためスパイスをきかせた羊肉などの白や赤では合わせづらい料理にもよく合います
大きな壺(クヴェヴリ)の中で優しく発酵され熟成されていくのでうま味成分も多く、同じように干して乾燥させたパストラマの野性的な味わいとも相性が良いでしょう
適度な酸味とタンニンが肉の脂身をうまく流してくれて、ワインの持つスパイス感が香辛料を効かせたパストラマの味わいをグッと引き立ててくれます
燻製によって醸し出された燻製香もワインと反応して独特の香ばしさを感じることでしょう
紀元前より続く古の伝統製法で作られたジョージアワインです、龍肉という一癖のも二癖もありそうな肉とのマリアージュにもきっと引けを取ることはないでしょう
まとめ
空挺ドラゴンズに登場する「龍の赤肉の海賊風パストラマ」に合わせるワインにジョージアのオレンジワインをセレクトしてみました
現実に龍肉は存在しないので、今回は伝統的な羊肉を使ったパストラマをイメージしてセレクトしてみました
一般流通しているパストラミではなくパストラマと表記している所に作者のこだわりを感じますね
それにしても海賊風て一体何なんでしょうね?
余りなじみのないオレンジワインですが近年ではユネスコの「無形文化遺産」に登録され少しづつ輸入量も増えて手に入りやすくなっています
オレンジワイン自体も色んなブドウ品種で作られていますので少しずつ個性は違いますが、全般的にスパイスの効いた燻製肉との相性はとても良いですよ
ジョージア本国ではオレンジワインではなくアーバンワインと表現されますね
ナチュラルな伝統製法で作られるワインでもあるので自然派ワインにも分類されます
是非試してみてくださいね
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