魔女の宅急便の劇中、老婦人に依頼されて焼いた「ニシンのパイ」を箒に乗って届けに向かうキキ
激しい雨の中パイを濡らさないように頑張るキキの姿に仕事って大変だなと思った記憶があります
やっとの思いで届けた料理も「私、このパイ、きらいなのよね」と愛想なく受け取られる始末
そんなおばあちゃんが作った「かぼちゃとニシンのパイ」に合う料理をソムリエ視点で考えていきます
今回セレクトしたのはドイツのリースニングです
料理の開設と共にその理由を探っていきます
舞台背景
魔女の宅急便の時代設定は
宮崎駿監督曰く
「第二次世界大戦を経験しなかったヨーロッパ」
白黒テレビが普及し、車(トッポリーノ)やボンネットバスが走り大きな飛行船が使われてることから
1950年代~1960年代頃なのではないかと言われていれています
作品の舞台になったコリコの街はヨーロッパの色々な街を参考に描かれているようで
1 スウェーデン ストックホルム
2 スウェーデン ヴィスビー
3 オーストラリア アデレード
4 ポルトガル リスボン
5 クロアチア ドゥブロヴニク
6 オーストラリア タスマニア
など諸説ありますが
スタジオジブリの公式な回答としては、「魔女の宅急便」の舞台となった街は北欧スウェーデンのゴットランド島「ヴィスビー」のようです
ニシンのパイ
ニシンとかぼちゃのパイはスウェーデンの伝統料理
ニシンがたくさん獲れるスウェーデンでは、よく食卓に並ぶ国民的な料理なんだそうですよ
スウェーデンのニシンと言えば、世界一臭い缶詰と言われる発酵したニシンの缶詰シュールストレミングが有名ですね
もう一つ有力な料理のモデルになっているのが
イギリス「コーンウォール」の名物料理
「Stargazy pie(スターゲイジー・パイ)」
ニシンを卵、じゃがいもとともにパイ生地に包んで焼く料理なのですが
パイ生地からニシンの頭部が突き出して星空を見上げているようなちょっとユニークな見た目しています
星を意味する「star」、眺めるを意味する「gaze」が合わさってその名の由来になっているようです
サクッとしたパイ生地に甘みのあるカボチャ、ホワイトソースのまろやかさとの組み合わせが絶妙な料理です
合わせるワインはドイツのリースニング
一説にはスウェーデンのかぼちゃとニシンとパイはドイツから伝わったものかもしれない、ということでこの料理にはドイツのリースニングをお勧めします
リースニングはドイツやフランスのアルザスでよく栽培される白ワイン用のブドウ品種です
中でもドイツは最大の生産地で、世界のリースリングの約半分はドイツで栽培されているというほど、ドイツに根付いた品種であるといえます
ドイツの涼しい気候がこのブドウに向いているんですね
貴腐ワインやアイスワインもこのブドウ品種から作られる事が多く
ドイツでは甘口と辛口のものが作られ糖度によってその階級が区分されています
甘口のものは日本人でも好む人が多かったため、ひと昔前ではまずは甘口のドイツワインを広めて顧客を掴むといった企業もいたようです
初めてワインを飲む人でもリースニングなら飲みやすいものが多いかと思います
辛口のものはキリッとした伸びやかな酸とリンゴや桃、ハチミツなどの香りが印象的です
リースニングの甘い香りとかぼちゃのしっかりとした味わいが重なり合いお互いを引き立ててきれるでしょう
基本は辛口のものの方が合わせやすいですが少し甘みのあるタイプを選んでも、しっかりとしたかぼちゃのパイなら受け止めてくれます
まとめ
魔女の宅急便の劇中に登場するかぼちゃとニシンのパイにドイツのリースニングをセレクトしてみました
ニシンのパイは日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、カボチャやホワイトソースなどが使われているので臭みや苦味などは感じにくく、食べてみるとなかなか美味しい料理です
具材をアレンジしてほうれん草や鮭などを使うのも良いかもしれませんね
アレンジしたレシピにもリースニングはよく合うと思いますよ
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