映画「コクリコ坂から」の劇中、俊と海の二人が坂を下って街に向かい、お肉屋さんでコロッケを買い食いするシーン
俊は揚げ物コーナーでコロッケを2つ買い、「食えよ」と海に1個渡します
甘酸っぱい恋模様が描かれたシーンですね
そんなふたりの距離を縮めるきっかけとなった「コロッケ」に合うワインをソムリエ的視点で考えていきます
今回セレクトしたのは日本生まれの甲州です
料理のルーツをたどりながら、その理由を解説していきます
舞台背景
『コクリコ坂から』の映画は1963年の横浜を舞台に描かれています
オリンピック開催の前年でちょうど高度経済成長が本格化し、日本社会全体に希望が溢れていたでしょう
坂が多い横浜の街や、商店街で行き交うたくさんの人々の活気に満ちた様子が描かれていますね
山下公園や桜木町駅といった実際の場所も、東京オリンピック前の高度経済成長期の時の姿で登場しています
しかし戦争の影響もまだ残っている時代で、海と俊の出生にも戦時の事情が深く関わることになります
二人がコロッケを買ったお肉屋さんにもモデルがあるようでジブリのスタッフもよく買いに行っていたようです
コロッケ
外はサクサク、中はホクホクとしたジャガイモとミンチしたお肉、お値段もお手頃でお肉屋さんのやコンビニなど身近に売られており、日本人の国民食とも言える料理ですね
そのルーツははっきりしておらず、フランスやオランダはたまたイギリスから伝わったといわれています
明治時代の文明開化と共に外国の文化が数多く入ってきて
1887年(明治20年)に刊行された文献には、「コロッケ」という名前が初めて登場したとされています
コロッケという名前も「フランス語、英語の「クロケット(ポリポリたべる)」が変化して日本人のいいやすい「コロッケ」になったといわれています
舞台になった横浜も港がある都市でヨーロッパの食文化がいち早く入ってきた土地だったかと思います
お肉屋さんで揚げるコロッケはお肉のラードを使ってあげるのでカリッとして食べ応えがありますね
劇中のコロッケもそんなしっかりとした味わいのコロッケだったのでしょう
コロッケとヨーロッパのクロケット
クロケットはフランスが発祥だと言われており、前菜や付け合わせとして食べられていますが、ジャガイモは使わず魚や肉を入れた日本のクリームコロッケのようなものが主流のようです
オランダでもクロケットが日常的に食べられおり駅や広場にクロケットの自動販売機があります。食事というよりも小腹が空いた時のスナックとして食べられることが多いようですね
こちらはミンチにした牛肉をクリームソースに混ぜ、パン粉を付けて揚げたものでマヨネーズを付けて食べるのが一般的のようです
小腹が空いた時に食べるところは日本人とも共通する感覚ですね
イギリスではマッシュポテトやフィッシュアンドチップスなど、ジャガイモを主食としているイギリス料理らしく、クロケットにももちろんジャガイモが使われています。
マッシュポテトに鮭やカニの身をほぐして揚げたものが多いようです
日本のコロッケはこれらの国々のクロケットが混ざり合い独自に西洋料理として広まったものだと思います
日本は乳製品の加工技術が未熟で普及していなかったため、クリームコロッケはメジャーにならず、ちょうど生産が盛んになったジャガイモを代わりに使うことでコロッケが大衆化したとも考えられます
合わせるワイン 日本の甲州
付け合わせや小腹が空いた時に食べるコロッケなんですが実はとてもワインに合う料理でもあるのです
お肉屋さんで作られたしっかりした味わいのコロッケ
この料理に合わせるのは日本の甲州から造られた白ワインをお勧めします
かつて甲州と呼ばれていた山梨県
今では山梨県の塩山市・勝沼町・大和村の合併によって誕生した市の名称であり、ぶどうの生産地でもあります
そう甲州は山梨県で生まれたぶどう品種です
甲州ぶどうは1200年以上前の古来より日本の地で栽培される日本固有の品種で、生食されることもありますが、ワインに向いているぶどうでもあるのです
実は一般的な食用のぶどうはワイン作りにあまり向いて無くワイン作りに適したぶどう品種が使われます
世界中でワインに使われているぶどう品種をヴィティス・ヴィニフェラ種といい甲州ぶどうはそのヴィティス・ヴィニフェラ種に属しているぶどうなのです
基本的には辛口のものが多く、柑橘系の香りにほど良い甘みと酸味がありスッキリとした味わいのものが主流です
コロッケと合わせるとスッキリした白ワインがラードで揚げられた衣を洗い流すことによってどんどんと箸が進むことでしょう
ほんのり香る柑橘の香りや程よい甘みがじゃがいとミンチの味を引き立ててくれます
まとめ
映画「コクリコ坂から」に出てくるコロッケに日本の甲州で作られたワインをセレクトしてみました
甲州ワインの品質は、ここ数年で飛躍的に向上しています。繊細な味わいが最近では「日本らしさ」「甲州らしさ」として、世界から高い評価を受けています。
もはや日本食となったコロッケ
ヨーロッパから伝わった料理とお酒を日本人らしくアレンジして合わせてみるのも良いものですね
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