紅の豚の劇中主人公のポルコロッソの飛行機が壊れて、ピッコロの工場で直してもらうシーン
工場の従業員たちのまかないとしてポルコ達が食べていたのがトマトソースのスパゲティ
このトマトソースのスパゲティに合わせるワインをソムリエ的視点で考えていきます
今回セレクトしたのは プーリア州で作られるプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアです
舞台背景
紅の豚の作中の舞台は1920~1930年代世界大恐慌の時代
イタリアのアドリア海沿岸部がモデルになっています
劇中の「札束が紙クズ並みの値打ちしかない」というピッコロのぼやきや、「燃料がイタリアの3倍もする」というフィオの台詞からも大恐慌の最中にあることが伝わってきます
イタリアのアドリア海沿岸部にはマルケ州やアブルッツオ州、少し南に行くとプーリア州があります
特にブーツのかかと部分にあたるプーリア州はトマトの生産量がイタリア国内ナンバー1で、この辺りではトマトソースを使った料理がよく食べられています
ソースさえ作ってしまえばあえるだけでおいしく食べれるこのシンプルなトマトソースのスパゲティが、まかない料理として描かれることで物語に説得力と深みを持たせてますね
トマトソースのスパゲティ
トマトソースのスパゲティはイタリア語でスパゲッティ・アル・ポモドーロ(Spaghetti al pomodoro)といいます
「ポモドーロ」とは「トマト」という意味
ニンニクとオリーブオイルをベースに玉ねぎを炒めて甘さを出しトマトを入れて煮詰めたものが基本になります
玉ねぎを加えなかったり、バジルやオレガノなどのハーブを加えることもあるので家庭によってレシピは変わってきます
シンプルがゆえに奥深い料理の一つで、まさにイタリアで最定番ともいえるマンマの味といえるでしょう
合わせるワイン
料理を食べるシーンではワイングラスではなくコップに注がれた赤ワインが描かれています
素朴な料理を引き立てコップにいれてもごくごくと飲めるワインとしておすすめしたいのがプーリア州で作られるプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアです
プリミティーヴォはプーリア州で作られる黒ブドウの名前でプリモ(最初の)という意味があります。
8月には収穫されるので一番最初に収穫されるブドウということが名前の由来になってます
マンドゥーリアはプーリア州の場所の名前で少し山側にある地域ですね
プリミティーヴォで作られたこの赤ワインは一言でいうと甘いです
プーリアの夏は長く暑く、乾燥しているので糖分が高いブドウができあがります
糖分の高いブドウのおかげで力強くて果実の凝縮感のあふれるフルーティーワインに仕上がるというわけです
酸味や渋みがすくないので少し冷やしてもごくごく飲めますし、果実の甘みがトマトの酸味とマッチして、本来夏の野菜であるトマトを使ったソースとの相性はばっちりです
値段もお手頃なものが多いので素朴なトマトソースのスパゲティにぴったりなワインだといえます
まとめ
ポルコ達が食べるまかない料理としてのトマトソースのスパゲティにプーリア州のプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアをセレクトしました
この地域はとても貧しく、農民は収穫の早いプリミティーヴォ種を好んで栽培したともいわれてます
暑い夏、畑でとれたトマトを使ったシンプルなパスタに甘みのあるワインをコップにいれてゴクゴクと飲むというのも気軽でいいものです
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