天空の城ラピュタの劇中で、シータが空中海賊のドーラの船で作ったビーフシチュー合うワインをソムリエ視点でご紹介します
今回セレクトしたのはボルドーの赤ワイン
その理由を作品の背景を読み解きながら解説していきます
舞台背景
天空の城ラピュタの時代背景は19世紀後半、産業革命期のイギリスのウェールズ地方周辺がモデルとなっているようです
シータが捉えられパズーが飛行機に乗って助け出すシーンに登場するお城は、ウェールズにある「カーナヴォン城」がモデルのようです
その他にも
・フランス「モン・サン=ミシェル」
・イタリアのチヴィタ・ディ・バニョレージョ
・カンボジアのベンメリア遺跡
・日本の竹田城
・オーストラリアのパロネラ・パーク
など様々な場所のイメージが複合されて物語が彩られているようです
ビーフシチュー
シータの作るビーフシチューは赤ワインや黒ビールなどでじっくり牛肉と野菜を煮込んだ
イギリススタイルのビーフシチューだと思います
アイルランドにはアイリッシュ・ラムシチューという羊肉を使った同じようなシチューもありますのでこの地方で日常的に食べられている料理なのでしょう
劇中タイガーモス号のキッチンに肉が吊るされていたりするのでそういった保存食も材料に使われているかと思います
食事シーンには茶色がかった食パンやビールが描かれていますのでこの地方のものだと想像できます
アイルランドには発酵させずに焼いたソーダブレッドというパンがありこのパンはシチューに良く合うようです
船内にあるありあわせの材料で作った料理として違和感なく描かれている所は流石だなぁと思わされますね
合わせるワインとマリアージュ
牛肉を使ったビーフシチューには
フランスボルドーのカベルネソーヴィニョンをお勧めしようとおもいます
ワインのことはほとんど知らない人も「フランス・ボルドー・カベルネソーヴィニョン」という言葉は聞いた事があるかもしれません
「ワインはボルドーにはじまり、ボルドーにおわる」
などと表現されることもあるくらいです
赤ワインといえばボルドーのカベルネソーヴィニョンと思い浮かべることができるくらい有名で世界中で認知されているワインだと思います
ボルドーの赤ワインの特徴
ボルドーの赤ワインは、複数のぶどう品種をブレンドして味わいを決めていくことで
作り手の個性やこだわりを表現していきます。
ぶどうの品種によっての出来不出来も毎年変わるので、ブレンドすることで品質を保っているともいえます。
単一のぶどうのみで作られることはあまりありませんので、ここではボルドーのカベルネソーヴィニョン種主体で作られたワインとしてご紹介して行きます
カベルネソーヴィニョン
カベルネソーヴィニョンは皮が分厚いため品種のため、タンニン(渋み成分)を多く含んでいます。
そのため色が濃く、強い渋味をもった濃厚な味わいに仕上がります
ボルドーの赤ワインはタンニンと酸のバランスがよく、しっかりとしたコクもあるのでビーフシチューの肉の旨味を引き立ててくれるでしょう
劇中に描かれているようなしっかりとした味わいのパンと一緒に食べればカシスやミントといった香りの要素もより感じやすくなるかと思います
ボルドーワインとイギリスの関係
ボルドーワインのが世界的に有名になった要因の一つにイギリスとの関係もあげられます
ボルドーは「月の港ボルドー」とも呼ばれており古くから交易の都市として栄えていました。
ワインだけでなく砂糖やコーヒーなども多く取引されていたようです
ボルドー地方周辺は過去イギリスの支配下にあったことでボルドーワインの半分は船で輸出され主にイギリスへ運ばれていたのです
イギリスは寒冷な気候なせいでぶどうがうまく育たずワインはあまり造られていなかったんですね
その代わりに大麦で作ったビールやウイスキーが飲まれているわけですが、、、
イギリスに輸入されたワインも、まず階級が高い人達中心に飲まれていたのでワインは高級な物といったイメージもこの辺りの影響からくるところもあるでしょう
ボルドーの港でワイン貿易が活発になるにつれ販売業者や生産者が船に積まれるまでボルドー産以外のワインが町に入らないようにするなど、差別化をはかりボルドーワインというブランドやビジネススタイルを築きあげていきます
ボルドーワインが世界に認知されていった要因の一つにこのような背景もあったんですね
まとめ
天空の城ラピュタに描かれるシータが空中海賊のドーラの船で作った
ビーフシチューにフランスボルドーのカベルネソーヴィニョン主体の赤ワインをセレクトしてみました
イギリス発祥のビーフシチューとワインの王様ボルドーの赤ワイン
一見ありきたりな普遍のマリアージュですが歴史的背景で繋がっているかもしれないと考えると楽しくなってきますね
ドーラたちが飲んでいたワインも貴族からかっぱらったボルドー産のワインだったかもしれないですよ
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