紅の豚の劇中でポルコがマンマイユート団を撃退した後、ホテル・アドリアーノ内のレストランの片隅で一人食べている魚料理
ソムリエ的視点でこの料理に合わせるワインを考えていきたいと思います
今回セレクトしたのはイタリアのマルケ州ので作られるヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ
作品の背景を読み解きながらその理由を解説していきます
舞台はイタリアのアドリア海沿岸
紅の豚の作中の舞台は世界大恐慌の時代のイタリアのアドリア海沿岸部なのでなのですが、実際にモデルになっている町にクロアチアの「ドブロブニク」があげられます
クロアチアは地方ごとに特色のある料理が楽しめる国で、ドブロヴニクはアドリア海沿岸にあり、シーフード料理が有名です
クロアチアは古くから侵略と併合の歴史を繰り返してた来た国で食文化も似通っており、アドリア海沿岸部はイタリア料理(地中海料理)に似たシーフード中心の料理、内陸部では主にトルコ、ハンガリー、オーストリアの影響を受けたお肉を中心とした料理がその土地の伝統料理として愛されています
アドリア海を挟んでドブロヴニクのちょうど反対側のイタリアにはマルケ州やアブルッツオ州、ヴェネト州があり、ポルコが飛空艇を修理した後運河から飛び立ちシーンは、イタリア・ヴェネト州ミラノのナヴィリオ運河だとされてますので描かれている舞台はこのあたり一帯といったところでしょう
サーモンステーキホワイトソース
マルコが食べていたのはこの地方の影響を受けた魚料理でシンプルにオリーブオイルと塩・胡椒で焼き上げてホワイトソースをかけたものだと思われます。繊維と色味からみたところサーモンを使っているでしょう
ソースはホワイトソースですが、ホワイトソースにバターやキノコを使って深みを出したりヨーグルトやマスタード、ハーブ等を加えたりすることで味わいを色々とアレンジできます
合わせるワイン マリアージュ
料理を食べるシーンにはすでに白ワインが描かれています
舞台がイタリアアドリア海沿岸なのでその地方のワインをセレクトしていきましょう
おすすめしたいのがマルケ州ので作られるヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ
その意味は「イエージ城のヴェルディッキオ」
ヴェルディッキオは、主にイタリアのマルケ州で栽培されている白ブドウ品種です
果皮が緑色であることが特徴であり、ヴェルデ=緑という意味からヴェルディッキオという名がついたとされています。
また魚料理に合うことから別名「海のワイン」といわれています
ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージは、魚の形をしたボトルで流通していたこともあり特に海のワインや魚のワインといったイメージの強い銘柄です
日本にも早い時期で輸入され、魚の形をしたワインのボトルは人気があり一昔前まではレストランやワインショップでもよく見かけましたが近年では少なくなってきています。
魚の形に加工するためには、通常のボトルと比べて余分なコストもかかりますので、現在では一般的なボトルかこの地で以前使用されていたアンフォラ(壺のようなもの)を模したボトルのものが増えてきています
味わいと合わせ方 DOCとDOCG リゼルバ熟成
マルケ州のヴェルディッキオ種で作られたワインにはヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージDOCと
イタリアのワイン法で定められた最高格付けのカステッリ・ディ・イエージ・ヴェルディッキオ・リゼルバ DOCGがあります。
DOCGはDOCが昇格したものでイタリア各州の最高格付けのワインに与えられますので上位交換と考えてもらえれば良いかと思います
リゼルバとは熟成という意味があり樽や瓶内で十分に熟成されたワインに与えられる称号です
ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージはすがすがしい酸と若々しく果実味にあふれた味わいの辛口ワインで余韻には多少の苦身を感じます
ワイン全体の印象として海のさわやかさがあり、厚めに切ったボリューム感のあるサーモンのステーキを引き立ててくれます
また、カステッリ・ディ・イエージ・ヴェルディッキオ・リゼルバ DOCGのように熟成された白ワインは酸味が抑えられてより複雑な味わいになりますので重ためのソースでもしっかり受け止めてくれます
ホワイトソースにバターやキノコなどを加えて味に深みを出した場合には熟成タイプ(リゼルバ)を選んで少しリッチな雰囲気を楽しんでもいいかもしれませんね
ポルコがやりての賞金稼ぎならそれなりの品質のワインを飲んでいたことでしょう、そんな事を想像しながら飲むのも楽しいですね
まとめ
アドリア海沿岸部が舞台の紅の豚
劇中で描かれたサーモンステーキホワイトソースには海のワインと呼ばれるマルケ州のヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージをセレクトしてみました
ポルコロッソの気分になって楽しんでみて下さい
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