ルパン3世カリオストロの城で登場したミートボールスパゲティにソムリエ的視点でワインをセレクトしていきます
今回セレクトしたのはイタリアのキャンティ
作品の背景を読み解きながらその理由を解説していきます
カリオストロの城のミートボールスパゲティ
舞台
言わずとしれたルパンが次元と取り合って食べるあのスパゲティです
カリオストロの城のモデルになった場所は
・フランスの修道院「モンサンミッシェル」
・ドイツの古城「リヒテンシュタイン城」
・イタリアの街「サン・レオ」
と諸説あるのですが食堂のシーンを含む下町のモデルはイタリアの町「サン・レオ」が有力のようです
場所はイタリアを長靴で例えると、ふくらはぎ上部のエミリア=ロマーニャ州リミニ県
エミリア=ロマーニャは、イタリアでも特に食通の州として知られ、パルマの生ハムやチーズ(パルミジャーノ・レッジャーノ)、手打ちパスタ、トルテッリーニやソーセージ、モデナのバルサミコ酢など美味な食材が豊富です
パスタボロネーゼ
日本でもおなじみの「ボロネーゼ(ミートソースのパスタ)」はこの州のボローニャが発祥と言われています
本来は細麺のスパゲッティではなくタリアテッレという平打ち麺がつかわれたタリアテッテレ・アル・ラグー(ラグーとはひき肉を使ったソースのこと)という料理なのですが、日本ではアレンジされてミートソースのスパゲティ=ボロネーゼとして広まっています
地元の人はラグーソースは平打ち麺のタリアテッレで食べるものであって細麺のスパゲティでたべるなんて言語道断のようです
カリオストロの城に出てくるミートボールスパゲティはこの日本のボロネーゼに近いものですね
合わせるワイン マリアージュ
キャンティ
まず食事シーンにでてくるワインはキャンティだと思われます
劇中の雰囲気を楽しむならこのキャンティは欠かせません
キャンティはトスカーナ州で作られるサンジョベーゼ主体の伝統的な赤ワインです
劇中に出てきたものは藁を編んで作ったフィアスコと呼ばれるボトルのキャンティです
フィアスコには失敗という意味もあり野暮たいイメージも持たれてます
実はこのフィアスコボトルの藁を編む職人が減って来ているため最近では生産量が減っているんです
また通常のボトルよりもボテっとした形なので、運送には不向きで輸送量もかさんできます
同じ作り手の中身が同じキャンティでもフィアスコの方が実は割高なんです。
最近では日本への輸入量も減って来ていますので店頭で見かける事も少なくなりました
ただ雰囲気は抜群なのでせっかくならフィアスコボトルのキャンティで合わせたいところです
キャンティはフルボディのがっしりとしたワインではありませんが、食事と一緒に飲むワインとしては最高です
エミリアロマーニャの地酒
エミリア=ロマーニャの地酒もこの料理にはマッチします
①サンジョベーゼディ・ロマーニャ
サンジョベーゼ種はイタリア中部でよくつくられるブドウ品種でエミリアロマーニャ州にはサンジョベーゼ・ディ・ロマーニャがあります
キャンティと同様、基本的には綺麗な酸がありボロネーゼの様な挽肉を煮込んだ料理との相性は抜群です。
②ランブルスコ
ランブルスコ種で作られるエミリアロマーニャの発泡性の赤ワインです
甘みのあるドルチェと辛口のセッコがあるのですが、辛口のセッコの方が合わせやすいです
発泡性ですが余って炭酸が抜けてしまっても赤ワインとして楽しめますし、値段もお手頃なものが多いので気軽に楽しめます
生ハムなどの畜産物にも良くあうエミリア=ロマーニャならではのワインともいえます
③アルバーナ・ディロマーニャ
お肉料理だからといって合わせて飲むのは赤ワインばかりとは限りません
エミリア=ロマーニャのDOCGの白ワインアルバーナディロマーニャもおすすめです
アルバーナ種は甘口のデザートワインが作られるくらいに糖度が高いブドウ品種なので、辛口タイプはボディのしっかりとした白ワインに仕上がります
ボロネーゼのような挽肉パスタにもまけません
まとめ
ボロネーゼのような挽き肉を使ったパスタは適度な酸があってぐいぐい飲めるワインとの相性が良いです
一般的なキャンティはフルボディのがっしりとしたワインではありませんが、食事と一緒に飲むワインとしては最高です
なんか飲み飽きたという方はエミリア=ロマーニャの地酒も是非試してみて下さい
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