「ジョジョの奇妙な冒険」に登場した料理に合わせるワインをソムリエ視点で考えてみました。
各料理の詳しい内容はリンクから飛んでいただければ確認できます。
「ジョジョの奇妙な冒険 Part2」 イカスミのスパゲティ
「ジョジョの奇妙な冒険 Part2」 に登場するイカスミのスパゲティ。
ホテルのレストランでジョセフジョースターが食べていたのが真っ黒なイカスミソースのスパゲティです。
インク入りスパゲッティだと勘違いし店員にいちゃもんをつける主人公のジョセフですが、店員に説明され食べてみると気に入ったようで「ズビズバー」と美味しそうに食べていきますね。
途中からシーザーとの波紋パスタを飛ばしあう対決になっていきます。
正式な表記は Spaghetti al Nero di Seppie
Nero(ネーロ)とはイタリア語で「黒」
Seppie(セピエ)はイカ墨のことです。
劇中のジョセフの傍には赤ワインが一緒に描かれています。
この料理に合わせるワインとしておすすめするのが、シチリアの赤ワイン「チェラスオーロ・ ディ・ ヴィットリア」です。
チェラスオーロとは日本語にすると「チェリーのような」といった意味。
少し軽めのワインでチェリートマトのような味わいが特徴です。
重すぎない赤ワインなので魚介類に合わせても違和感なく、イカスミのコクも受け止めてくれますよ。
「ジョジョの奇妙な冒険 Part4」 カプレーゼ
Part4 に登場する「トマトとモッツァレラのサラダ」。
杜王町にてナポリ出身のイタリア人トニオ・トラサルディーが経営するイタリアンレストラン「トラサルディー」で前菜として出されていますね。
トマトとバジルにフレッシュなチーズのハーモニーが絶妙な南イタリア料理です。
赤、白、緑の3色がイタリアの国旗を連想させることも特徴ですね。
正式名称は、「インサラータ・カプレーゼ」イタリア語で「カプリ島のサラダ」。
そのカプリ島の人々が、地元の食材でもあるトマトとチーズにバジルやオレガノあしらって食べていた料理ためその名の由来となったようですね。
オススメのワインはカンパーニャの白ワイン「ファランギーナ」。
ちなみにカンパーニャはトニオの出身地ですね。
花やフルーツのような甘い香りがあり、果実味と酸味のバランスがいいので若いうちに飲んでも美味しいです。
ミネラル感のあるワインはトマトとの相性がよく、トマトの甘みとクリーミーなチーズに程よい塩味を感じさせます。
「ジョジョの奇妙な冒険 Part4」 娼婦風スパゲティ
Part4に登場する「娼婦風スパゲティ」
杜王町にてナポリ出身のイタリア人トニオ・トラサルディーが経営するイタリアンレストラン「トラサルディー」でプリモピアットとして出されていますね。
プリモピアットは「第一の皿」という意味で主にパスタやリゾットなどが出されます。
前菜のカプレーゼと同じくトニオの故郷に伝わる伝統的なパスタ料理ですね。
娼婦風スパゲティはイタリア語でputtanesca(プッタネスカ)と呼ばれています。
娼婦という意味のスラングputtana(プッターナ)から派生した言葉なんです。
にんにくで風味を出し、黒オリーブとアンチョビ、ケッパーで塩味を加え、唐辛子で辛みをきかせたトマトソースですが、トニオのパスタは辛いものが苦手な人でも食べれるようにしてあるようです。
オススメはカンパーニャ州の赤ワイン「アリアニコ」。
アリアニコは、南イタリアで長く栽培されている黒ブドウ品種でギリシャ移民によって南イタリアに持ち込まれたといわれています。
程よい果実味とブラックベリーのようなニュアンスが塩気のあるプッタネスカとよく合いますよ。
「ジョジョの奇妙な冒険 Part4」 仔羊背肉のリンゴソースかけ
Part4「仔羊背肉のリンゴソースかけ」
杜王町にてナポリ出身のイタリア人トニオ・トラサルディーが経営するイタリアンレストラン「トラサルディー」でセコンドピアットとして出されていますね。
セコンドピアットは「第二の皿」という意味で魚や肉といったメインディッシュが出されます。
リンゴを使ったソースは珍しいですが、おそらく杜王町のモデルになった仙台の特産品であるリンゴを使ったものだと思われます。
イタリア料理は地産地消が基本ですので、その土地に敬意を払うトニオさん流のオリジナルソースなのでしょう。
トニオのセリフに「味付けは微妙で難しい」とあり仔犬に味見をさせています。
シンプルな料理は火加減やソースの濃度などが重要になってくるので料理人の腕の見せ所といえますね。
ジューシーで野性味のある仔羊のソテーには、イタリアのアブルッツォ州で作られるワイン、「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」がよく合います。
果実味があり、ほんのりチョコレートのような甘みを感じます。
羊肉の持つ肉の甘みとも良く合いますよ。
アブルッツォ州は羊の放牧が盛んで、肉と言えば羊肉と言われるくらい羊肉がよく食べられています。
伝統的に食べられている食材とその土地のワインがマッチするのは必然といってもいいかもしれませんね。
「岸辺露伴は動かない」 鮑のリゾット
ジョジョの奇妙な冒険 スピンオフ「岸辺露伴は動かない」エピソード6の「密漁海岸」に登場する「鮑のリゾット」。
冒頭からイタリア料理店「トラサルディー」にてワインと一緒に鮑のリゾットを楽しむ岸辺露伴。
岸辺露伴 とトニオが杜王町に伝わる文献を頼りに、黒アワビの密漁をするといったエピソードが描かれています。
作中品の描き方や食材などから季節は夏だと推測できますね。
リゾットはイタリアを代表する米料理の一つでリゾット(risotto)の「riso」とは、イタリア語で「米(riso)」を意味しています。
トニオが作った鮑のリゾットは冬瓜やとろろ芋など夏が旬の食材を使っており、見事に作品のリアリティを演出しています。
劇中で料理を楽しむ露伴のセリフに
「フランチャコルタ・・・・・ アワビのキモのソースがチーズと臭みとかなく合う」
とありますので、劇中で飲まれているのはフランチャコルタという事になります。
フランチャコルタはイタリアで作られた瓶内二次発酵のスパークリングワインの名前です。
食事シーンにもテーブルの上にはフランチャコルタの入った細長いフルートグラスと赤ワインのグラスが描かれています。
またテーブルの脇にはきちんとクーラーによって冷やされたボトルのフランチャコルタが描かれていますね。
こういった細かい描写にも荒木先生のこだわりを感じてきます。
「岸辺露伴は動かない」 タコのトマトソース煮
ジョジョの奇妙な冒険 スピンオフ「岸辺露伴は動かない」 エピソード6の「密漁海岸」に登場するに登場する「タコのトマトソース煮」
物語の終盤、密漁を無事終えたトニオがそのお礼にと岸辺露伴をもてなすために作った料理です。
鮑の密漁の時に一緒にとれたタコを使っているのが、なんとも面白いところですね。
タコの一本足をちょっとピリ辛のトマトソースで煮込んだこの料理は、ポルポ・アッフォガート Polpo affogato(溺れタコ)と呼ばれる南イタリアの伝統料理。
故郷の郷土料理に誇りを持つトニオらしい料理といえます。
合わせるワインは、トニオの故郷であるカンパーニャ州の白ワイン「グレコ・ディ・トゥーフォ」がおススメです。
ハチミツやアーモンドのような香りが特徴的。
凝縮した果実味とほのな苦みあり、ミネラル感が力強く骨太な味わいはタコのトマトソース煮にとても良く合いますよ。
まとめ
「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する料理に合うワインを、ソムリエ視点でセレクトしてみました。
登場する料理は基本的にイタリア料理ですね。
ジョジョはイタリアのファッションや美意識をうまく取り入れているので当然ともいえるでしょう。
イタリアにはその土地固有の地場品種で作られたワインがありますので、その土地の料理とワインを合わせると素晴らしいマリアージュになります。
登場する料理を読み解くと、作品そのものを深く味わえるのも、「ジョジョの奇妙な冒険」という作品の特徴ですね。
荒木先生の経験からくるリアリティが見事に作品に昇華されているのを感じられますね。
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