空挺ドラゴンズに登場する「龍のカラギモのコンフィのプレステリーヌ」
この料理に合うワインをソムリエ視点でご紹介します
今回セレクトしたのは 、 「アルザス地方のゲヴュルツトラミネール 」
その理由を劇中の料理のルーツをたどりながら解説していきます
空挺ドラゴンズとは 舞台背景
空挺ドラゴンズとは龍と呼ばれる生物が棲息する世界で、龍を狩って生計を立てる「龍捕り」たちを描いたファンタジーです
物語の主人公たちは、飛行船に乗って捕獲した龍を加工して売りさばくことを生業としています
龍は「宝の山」と呼ばれ、一頭捕獲するだけでかなりのお金になるようです
捕獲した龍は食肉や油はもちろん、内臓を薬の原料にしたり骨や筋を工芸品にしたりと余すことなく使うことができます
劇中では龍のお肉をつかった料理が印象的に描かています
芋とキャベツの酢漬けと龍のカラギモのコンフィのプレステリーヌ
劇中で龍の肉と余った酢漬けのキャベツを使ってヴァナベルが作ったのが
「芋とキャベツの酢漬けと龍のカラギモのコンフィのプレステリーヌ」
本人曰く、ただの田舎料理のようです
公式の材料は
・龍のカラギモ(肝臓)
・芋
・キャベツの酢漬け
・塩、胡椒、にんにく ハーブなど
・龍の脂
とされています
実際には龍の肉はないので鳥のレバーや豚肉を使ってもおいしいでしょう
劇中では主人公ミカからは「こってりとまったりとさっぱりが一緒くただ」と評されています
お酒とも良く合うので、酒好きのヴァナベルらしいメニューですね
ミカにとっても ヴァナベルが作った料理として印象に残っていたようです
テリーヌとは
テリーヌとは本来、陶器などで作られた容器のことで長方形の形をした型のことをテリーヌ型と呼ぶのが一般的です
料理のテリーヌは、簡単に言えばこのテリーヌ型に入れて形を作り調理されたものなんです
ヨーロッパでは古くから保存食として作られており、冬の食糧不足の時期に余った肉や野菜を容器にいれて焼き上げたのが始まりなんですね
脂や肉から出たゼラチン質が具材の変質を防ぐことから1週間ほどは保存がききます
レバーやミンチ肉、フォアグラ、野菜や魚介などあり合わせの食材で作られることからフランスの家庭料理としても定着しています
ヴァナベルが「ただの田舎料理」といったことも頷ける話ですね
材料⓵キャベツの酢漬け
キャベツの酢漬けはフランスのアルザスではシュークルート、お隣ドイツではザワークラウトと呼ばれるキャベツ料理の一つです
その意味は「すっぱいキャベツ」
通常はソーセージやハムと一緒に煮込んだり、付けあわせとして食べられたりしています
材料②コンフィ
コンフィとはフランスの調理の方法で、オイルに食材を浸してじっくり煮る調理法のこと
冷凍保存技術がなかった時代に、お肉の保存方法として取り入れられたのが始まりです
コンフィは食物を保存するための最も古い方法の1つで、密閉して冷所に保管すれば数ヶ月の保存に耐え、繰り返し再加熱することにより保存期間を延長することもできます
長い船旅でも長期保存できる理にかなった調理法といえますね
フランス語の コンフィル confire(保存する)が語源だよ
合わせるワインはゲヴュルツトラミネール
調理法や食材からフランスやドイツの影響を受けたといえるこの料理
そこで「芋とキャベツの酢漬けと龍のカラギモのコンフィのプレステリーヌ」にお勧めなのが、フランスのアルザス地方のゲヴュルツトラミネール
ゲヴュルツトラミネール はアルザスや故郷を接したドイツでもよく作られるブドウ品種で、主に白ワインが作られます
香りが高く、ライチやバラのような華やかな香りの奥に、白いスパイスの香りが潜んでいます
本場のシュークルートやザワークラウトは、クミンなどのスパイスを加え、香り豊かに仕上げることが多いので、ゲヴェルツトラミネールのスパイシーな香りと互角に並び立ってお互いの存在感を際立たせるでしょう
ゲヴュルツとは、ドイツ語で「スパイス」という意味
特徴的なライチの香りがテリーヌ全体を包み、適度に潰されたジャガイモの食感はブドウの果実味を受け止めてくれます
ゲヴェルツトラミネール から作られるワインは辛口のものでも、ほんのり甘味を感じるくらいに豊かな果実味もあるので肉の味わいとも調和しますよ
田舎風のしっかりとしたテリーヌですが、ワインと酢漬けのキャベツの酸味によって重くなりすぎずどんどんと食が進んでしまい、
あっという間になくなってしまうかもしれませんね
ましてや作中で食べられているのは龍の肉です、その味わいは想像の域を超えることでしょう
まとめ
空挺ドラゴンズに登場する「芋とキャベツの酢漬けと龍のカラギモのコンフィのプレステリーヌ」に合うワインに、フランスのアルザス地方のゲヴュルツトラミネールをセレクトしてみました
フランスの家庭料理として保存食をルーツに持つこの料理は「龍捕り」たちが飛行船で食べる料理としても理にかなっているでしょうね
ただ余った食材を敷き詰めて調理しただけなのに美味しい料理になるなんてのも魅力的です
こんな料理をパパっと作ってしまえるヴァナベルて一体何者なんでしょうね(笑)
実際には龍肉は存在しないので身近にある適当なお肉で作ってみるのも楽しいでしょうね
ちなみにアルザス地方のゲヴュルツトラミネールがすぐに手に入らない場合は、同じアルザス地方を代表するリースニングや近場のドイツの白ワインもオススメですよ
基本的には辛口のものの方が合わせやすいでしょう
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