ジョジョの奇妙な冒険 スピンオフ作品 「岸辺露伴は動かない」に登場する鮑のリゾットとフランチャコルタについてソムリエ的視点で紐解いていきます
舞台背景
舞台はジョジョの奇妙な冒険 第4部 に登場する杜王町
岸辺露伴がスマホを持っていることから第4部連載当時よりも時代は進んでおり、季節は夏かと思われます
イタリア料理店「トラサルディー」にてワインと一緒に鮑のリゾットを楽しむ岸辺露伴
リゾットはパスタと同様、イタリア料理のコースで前菜に続くプリモピアット(第1の皿という意味)として出されることが多いです
アマルフィ出身の天才料理人トニオ・トラサルディー(29)の作る料理はスタンド能力によって、食べた人を健康にするといった効能があります
この時の露伴はリゾットを食べた後、疲れ目がすっきりとしていきます
旬の食材で作られた「鮑のリゾット」
リゾットはイタリアを代表する米料理の一つで
元々、イタリアで食べられていた麦類の料理に東洋から伝わった米が合わさってできた料理です
リゾット(risotto)の「riso」とは、イタリア語で「米(riso)」を意味しています
トニオが作った鮑のリゾットは
・半生レアの鮑の切り身
・細かく刻んだ冬瓜
・すりおろしたトロロイモ
・鮑のキモ
これらの食材にイタリア産のチーズをあえて仕上げられたリゾットです
劇中では「フランチャコルタ・・・・・ アワビのキモのソースがチーズと臭みとかなく合う」と評されています
このリゾットのこだわったいるところはすべて旬の食材を使っているところですね
黒アワビ、冬瓜、トロロイモは基本的に夏においしく食べれる食材です
地産地消で季節のおいしい食材をイタリア料理として昇華するトニオさんのポリシーを表現した一皿といえるでしょう
これらを組み合わせた料理を作り出すトニオさんも天才ですが、この料理を使って夏という季節のリアリティを演出する荒木先生も流石としか言えないですね
フランチャコルタとは
劇中で料理を楽しむ露伴の
「フランチャコルタ・・・・・ アワビのキモのソースがチーズと臭みとかなく合う」というセリフ
このセリフに唐突に出てきた「フランチャコルタ」という単語に戸惑った方も多いのではないでしょうか?
フランチャコルタというのは実はイタリアで作られたスパークリングワインの名前です
劇中の食事シーンにもテーブルの上にはスパークリングワインの入った細長いフルートグラスと赤ワインのグラスが描かれています
またテーブルの脇にはきちんとクーラーによって冷やされたボトルのスパークリングワインが描かれています
こういった細かい描写には本当に脱帽ですね
前菜と一緒にフランチャコルタを開けてリゾットと一緒に楽しんでいたのでしょう
岸辺露伴のテーブルに赤ワインが描かれていることから、おそらくこの後メインのお肉料理が控えているかと思われます
フランチャコルタとスプマンテの違い
フランチャコルタについてもう少しくわしく説明します
フランチャコルタとは、北イタリアのロンバルディア州東部にあるフランチャコルタ地方で造られる発泡性のワインのことです
フランチャコルタはワインの名前であり土地の名前なんですね
イタリアではスパークリングワインをスプマンテ(Spumante)と呼ぶのですが、フランチャコルタはこのスプマンテの1つです
フランチャコルタはフランスのシャンパンと同じようにシャンパーニュ方式(瓶内2次発酵)という手間のかかる方法で作られます
そのためフランスのシャンパーニュ地方で造られたスパークリングワインだけがシャンパンと名乗ることがでるのと同様、フランチャコルタと名乗ることができるワインはイタリアのロンバルディア州で造られたものだけになるんです
瓶内で熟成させるなど長い時間と手間をかけて作られるこのフランチャコルタは泡のきめも細かく芳醇な味わいになります
どんな料理にも合わせることができるので、コースをフランチャコルタ1本で通すこともあるくらいなんです
このことから「フランチャコルタ・・・・・ アワビのキモのソースがチーズと臭みとかなく合う」というセリフもかなりリアリティのあるセリフだといえます
フランチャコルタがアワビのキモのソースや癖のあるチーズの味わいを見事に引き立てたといえるでしょう
まとめ
ジョジョの奇妙な冒険 スピンオフ作品 「岸辺露伴は動かない」に登場する
鮑のリゾットとフランチャコルタについてソムリエ的視点で考察してみました
季節の食材を使った料理から演出されるリアリティには本当に感心させられます
フランチャコルタはやはり暑い日に飲むと一層美味しく感じます
作者の体験からくるリアリティを感じることのできる素晴らしい作品ですね
またフランチャコルタと合わせた前菜や、かたわらに注がれた赤ワインと一緒に用意されているメインディッシュはどんなものだろうと想像するのも楽しですね
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