ジョジョの奇妙な冒険 Part2 の劇中に出てくるイカスミのスパゲティに合うワインをソムリエ的視点で考えていきます。
今回セレクトしたのはシチリアの赤ワイン「チェラスオーロ ディ ヴィットリア」。
その理由を料理のルーツをたどりながら解説していきます。
舞台背景
舞台は1938から1939年頃のローマ。
ホテルのレストランでジョセフジョースターが食べていたのが真っ黒なイカスミソースのスパゲティです。
インク入りスパゲッティだと勘違いし店員にいちゃもんをつける主人公のジョセフですが、店員に説明され食べてみると気に入ったようで「ズビズバー」と美味しそうに食べていきますね。
途中からシーザーとの波紋パスタを飛ばしあう対決になっていきます。
イカスミのスパゲティ
劇中に出てきたイカスミのスパゲティ。
正式な表記は Spaghetti al Nero di Seppie
Nero(ネーロ)とはイタリア語で「黒」
Seppie(セピエ)はイカ墨のことです。
イカ墨はインクの代わりに使用されていたことがあり、時間が経つと薄くなる事からその色をセピア色と言うようになったようですね。
イタリア料理店ではスパゲティネロと呼ぶ事が多いです。
イカスミパスタの発祥は諸説あるのですが、代表的なのがイタリアのヴェネト州とシチリア州。
どちらの州も海に面しており新鮮な魚介類が手に入ため海鮮料理が有名です。
スパゲティ以外にリングイネというロングパスタを使ったり、ヴェネツィアの伝統的な手打ちパスタBigoli(ビゴリ)を使う場合もあります。
またイカ以外の魚介やアサリで出汁をとったりとレシピは様々ですが、基本的にはトマトソースにイカ墨を加えてイカを余すことなく使うというのがポイントになってきます。
劇中のものはオーソドックスなイカ墨パスタでしょう。
合わせるワイン シチリアのチェラスオーロ ディ ヴィットリア
トマトソースにイカスミのコクを併せ持つスパゲッティネロ。
ジョセフの傍には赤ワインが一緒に描かれています。
魚介の風味とトマトの旨みにイカ墨のコクが効いたこの料理に合わせるワインとしておすすめするのが、シチリアの赤ワイン「チェラスオーロ・ ディ・ ヴィットリア」です。
チェラスオーロとは日本語にすると「チェリーのような」といった意味。
ヴィットーリアはシチリア島の南東あたりの場所の名前です。
シチリアの地場品種のネーロ・ターヴォラ種とフラパート種が使用されており、チェリーレッドの色合いをまとったエレガントなワインです。
チェラスオーロの名前の通りチェリーのような甘い香りがあり、軽やかな味わいがイカスミのパスタによく合います。
トマトベースのイカ墨ソースの味わいを受け止めるのにぴったりの赤ワインといえるでしょう。
現地シチリアでは魚介類をトマトで煮込んシチリアの郷土料理カッチュッコとも合わせられる事も多く、魚介類に合わせても美味しい赤ワインです。
ちなみにチェラスオーロディヴィットリアはイタリアの格付け最高ランクDOCGを取得している唯一のシチリアワインでもあります。
DOCGの赤ワインなので濃厚でフルボディタイプワインだと勘違いする人もいますが、チェラスオーロディヴィットリアはどちらかというと軽やかでエレガントなワインです。
魚介類を使った料理にはフルボディの濃ゆい赤ワインよりは少し軽めの赤ワインの方が合わせやすいかと思います。
まとめ
「ジョジョの奇妙な冒険 Part2」 の劇中に出てくる「イカスミのスパゲティ」に合うワインに、シチリア唯一のDOCGワイン「チェラスオーロ・ ディ・ ヴィットリア」をセレクトしてみました。
トマトソースベースのイカスミのパスタは重めの赤ワインよりこういった軽やかな赤ワインの方がイカスミの風味をいかしてくれるかと思います。
家で一からイカスミのパスタを作るのは大変ですが、イカ墨ペーストやレトルトのものでも十分美味しいのでぜひ一緒に試してみてください。
その時はズビズバーと音を立てて食べないよう気をつけましょう。
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