ジョジョの奇妙な冒険・第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場した娼婦風スパゲティ「プッタネスカ」
この料理に合わせるワインをソムリエ視点で考えていきます
今回セレクトしたのはイタリアのアリアニコ
作品の背景と料理の開設を交えながらその理由をたどっていきます
舞台背景
杜王町にてナポリ出身のイタリア人トニオ・トラサルディーが経営するイタリアンレストラン「トラサルディー」でプリモピアットして出された料理
プリモピアットとはイタリアンのたどっていきますに続く「第一の皿」を意味するもので、主食となるパスタやリゾットが出てくることが多いです
辛いものが苦手な億康は唐辛子の入ったこのパスタを『豆まきの節分の時に年齢の数だけ豆を食おうとして、たいして好きでもねー豆をふと気づいてみたら1袋食ってた』といいながら食べ切ってしまいます
スタンドパワーのおかげで完食後は虫歯が抜けて新しい歯が生えてきます
娼婦風スパゲティ「プッタネスカ」
プッタネスカ
娼婦風パスタはイタリア語でputtanesca(プッタネスカ)
娼婦という意味のスラングputtana(プッターナ)から派生した言葉です
にんにくで風味を出し黒オリーブとアンチョビやケッパーで塩味を加え、唐辛子で辛みをきかせたトマトソースのパスタ料理
スパゲッティを用いればスパゲッティ・アッラ・プッタネスカ (Spaghetti alla Puttanesca) 、リングイネを用いればリングイネ・アッラ・プッタネスカ (Linguine alla Puttanesca) が正式な名称で作中ではスパゲッティが使われています
名前の由来は
・忙しい娼婦が昼食にあり合わせの食材で簡単に作った
・娼婦のように刺激的な味
・娼婦が客引きに使うほど美味しい
・娼婦が客をもてなすためのパスタ
・激務の娼婦が体力を回復するために食べた
などと諸説ありますね
乾燥パスタと保存食
イタリアは南北で使われるパスタ文化も異なり、伝統的なパスタ料理は北は生パスタ、南イタリアは乾燥パスタが主流になってます
ナポリは17世紀に大規模な飢饉に見舞われ、食糧難を打開するためにも大量生産した乾燥パスタが重宝されました
風通りがよく、湿度の低い気候をもったナポリ周辺やプーリアでは乾燥パスタの生産に適していたようです
プッタネスカに使われているアンチョビやケッパーの塩漬けといった材料もそういった保存食です
イタリア家庭に常備している材料で作れるお手軽パスタですので、ありあわせの材料で作られたパスタというのも納得できる説かと思います
合わせるワインとマリアージュ
アンチョビやケッパーなどを使った塩気のあるパスタですので、辛口の白ワインも合わせやすいのですが、ここは少し攻めたマリアージュでトニオの故郷カンパーニャ州で生産されるアリアニコ種で作られた赤ワインをセレクトしたいと思います
カンパーニャ州の赤ワイン アリアニコ
アリアニコは、南イタリアで長く栽培されている黒ブドウ品種でギリシャ移民によって南イタリアに持ち込まれたといわれています
イタリア語で「ギリシャの」を意味する「 エッレニコEllenico」に由来するとされてきましたが、最近では南イタリアが起源と主張する専門家もいるようで諸説がはっきりしていません
アリアニコはネッビーロ、サンジョヴェーゼと並びイタリアの3大品種とも呼ばれており、カンパーニア州タウラージ村で造られるDOCGワイン、タウラージが特に有名です
ただプッタネスカにタウラージを合わせるのは力強すぎてワインの方が勝ってしまうかと思いますので、比較的手頃な値段帯のアリアニコIGTをお勧めします
日常的に飲むのであればアリアニコIGTでも十分美味しいものがあります
アリアニコで作られたワインは若いものでもタンニンと程よい酸も持っているため塩気の強いプッタネスカに良く合います
プラムやベリーといった味わいが、黒オリーブやトマト、ケッパーと口の中で絡み合いお互いを引き立ててくれるでしょう
まとめ
トニオが作ったプッタネスカにカンパーニャ州のアリアニコで作られた赤ワインをセレクトしてみました
作中に描けれているレシピも伝統的なレシピのようなのでここにも作者のこだわりを感じます
個人的にはシンプルなトマトソースパスタには辛口の白ワインを合わせることも多いのですが、今回はアンチョビや、ケッパー黒オリーブなどが使われた複雑味のあるパスタでしたので赤ワインをあわせてみました
プッタネスカ自体はイタリアの家庭料理のようなものなのでそれぞれの家庭の味があります難しく考えずすぐそばにある適当なワインを合わせてみるというのも案外良いかもしれません。
それはそれで楽しいもので新たな発見があるかと思います
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