空挺ドラゴンズに登場する「龍肉のレモナート」に合わせるワインをソムリエ的視点でご紹介します。
今回セレクトしたのが、ギリシャの赤ワイン「ネメア」。
その理由を作品の背景と料理のルーツをたどりながら解説していきます。
空挺ドラゴンズとは 舞台背景
空挺ドラゴンズとは龍と呼ばれる生物が棲息する世界で、龍を狩って生計を立てる「龍捕り」たちを描いたファンタジーです。
物語の主人公たちは、飛行船に乗って捕獲した龍を加工して売りさばくことを生業としています。
龍は「宝の山」と呼ばれ、一頭捕獲するだけでかなりのお金になるようです。
捕獲した龍は食肉や油はもちろん、内臓を薬の原料にしたり骨や筋を工芸品にしたりと余すことなく使うことができます。
劇中では龍のお肉をつかった料理が印象的に描かています。
公式レシピと作り方
コミックには公式レシピが掲載されていますので今回はそちらから引用しました。
作中ではヴァナベルの故郷アレーナがレモンの産地とされており、そこの名物料理として登場します。
「アレーナのお袋の味」として主人公たちに振る舞われていますね。
材料
材料[2人分]
◆龍の赤肉:300g
◆塩:適量 ◆胡椒:適量
◆玉ねぎ:小1個 ◆ニンニク:2片
◆オリーブオイル:大さじ1〜2
◆水:1/2カップ ◆白ワイン:1/4カップ
◆レモン:1〜2個 ◆じゃがいも:2個
◆場げ油:適景 ◆小麦粉:小さじ1
赤身肉ということなので、お肉は牛肉や羊肉を使うのが良いでしょう。
脂肪の少ないお肉の方が美味しいよ
お肉の種類によって味わいが変わってきますよ。鶏や豚を使うとさっぱり感が増しますね。
ミックスしたら龍肉ぽくなるかも?
作り方
1.龍肉を厚さ1cmほどに切り、しっかり塩胡椒をして10〜30分ほど置く。2. 玉ねぎをみじん切りにし、ニンニクをスライスする。
3.鍋を熱してオリーブオイル大さじ1〜2を加え、龍肉を両面焼く。
4.適度に焼き色がついたら玉ねぎとニンニクを加え軽く炒め、白ワインを加えさっと煮立てる。
5. 水1/2カップとレモン半個分のレモン汁を加え、蓋をして弱火で約1時間半、肉が柔らかくなるまで煮込む。途中、もし汁気が少なくなってきたら水を少し足す。
6.じゃがいもの皮をむき、小さめの一口大に切って多めの油で場げ焼きにする。
7.小変粉を残り半分のレモン汁で溶いて⑤の鍋に加え、ソースにとろみが付いて小麦粉の生っぽさがなくなるまで少し煮る。
8.塩、胡椒、レモン汁で味を調え、じゃがいもとともに皿に盛り付けたらできあがり。
肉を煮込んでる間に、ポテトを作ると効率がいいですね。このポテトがいい仕事するんです。
小麦粉でレモンソースにとろみをつけるのもポイントですよ。
その味わいは、「さっぱりしてレモンの香りがさわやかでおいしい~!!」とのこと。
レモン煮込み
龍肉をレモンの酸っぱいソースで煮込んだこの料理、あまりなじみのない料理ですね。
この料理のモデルになっているのが、ギリシャの「モスハリ・レモナート」。
ホロっと柔らかく煮えたお肉にフライドポテトを付け合わせに添えて、レモンソースと一緒に食べます。
モスハリは仔牛のことだよ
ギリシャではレモンを料理に使うことが多く、レモンはギリシャ料理には欠かせない調味料でもあるんです。
ギリシャでは国産レモンがほぼ一年中安価で手に入り、ギリシャ料理の特徴的な味のひとつになっています。
各家庭では大量にとれたレモンは絞って冷凍したり、塩やオリーブオイルを加えて瓶詰めにして保存します。
レモンにオリーブオイルと塩を加えるだけで、1か月くらいは持つようになり、ドレッシングとしても使えるんです。
お好みのハーブを加えたら、料理用のマリネ液にもなりますね。
もちろんお菓子にも使われることも多く、作中ではレモンパイがアレーナの名物として登場します。
合わせるワインはギリシャの赤ワイン
ギリシャのレモン煮込みから影響を受けた料理にはやはり、ギリシャのワインを合わせたいところです。
そこで「龍肉のレモナート」におススメするのがギリシャの赤ワイン「ネメア」です!
ネメアはギリシャのペロポネソス半島にある場所の名前で、「アギオルギティコ」というブドウから作られます。
「アギオルギティコ」はギリシャ特有のブドウ品種だよ。
この地はヘラクレスの生誕地で「アギオルギティコ」で作られる赤ワインは通称「ヘラクレスの血」とも呼ばれています。
ヘラクレスが神話にある「ネメアの獅子」と戦った時に流した血が、ワインになったと伝えられてるんですね。
その名の通りネメアの赤ワインは血のように深い紅色をしています。
濃い色をしたワインですが、あと口はさっぱりとして切れが良いので、赤身肉をレモンで煮込んだ料理との相性がとても良いんです。
黒コショウのようなスパイシーな香りと、華やかなハーブの香りが特徴的で、料理の味わいを引き立ててくれます。
タンニンはやわらかく飲み疲れしないので、付け合わせに添えられたジャガイモと一緒に食べれば、さらに味わいがまとまってきますよ。
赤身肉ではなく、鶏肉などの白身肉を使った場合は、レモンのさっぱり感も際立ってきますので白ワインもおススメですね。
ギリシャの白ワインはミネラル感が強く、酸がしっかりしているものが多いので、必然的にオリーブオイルやレモンを使った料理に合うんです!
ワイン自体にレモンやミントのニュアンスがあるのも面白いところです。
まとめ
空挺ドラゴンズに登場する「龍肉のレモナート」にギリシャの赤ワイン「ネメア」をセレクトしました。
ギリシャは古くからワイン作りが行われており、今のヨーロッパのブドウ品種にはギリシャから伝わったものがたくさんあるんですよ。
古代のギリシャではワインを水で割って飲んでおり、今とはだいぶ味も違ったようです。
まさに水代わりのワインだったんですね。
一時はオスマン帝国の領土となり、イスラム教による支配下にあったことや、大戦期の内戦の影響もありワイン作りは低迷していたんです。
近代的なワイン作りが行われるようになったのは1980年代にはいってからで、今では若い醸造家がフランスに留学し、最新技術を持ち帰ることにより、世界から注目されるワイン産地になっています。
作中のアレーナの国情ともリンクしているようで、想像すると面白いですね。
料理自体はそんなに難しくないので、是非自宅で作ってワインと合わせてみてください。
それでは、ヴァナベルの故郷アレーナに思いをはせて「雲に還りて また良き風招せ」
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